ホットケ・メソッド教師編


ルアー・フィッシングの釣り方の一つに「ホットケ・メソッド」というのがある。エサ釣りにしても

ルアーにしても、キャストした仕掛けを動かして魚を誘うのが基本なのだが、この「ホットケ・

メソッド」、・・・何もしないのである。このネーミング、「そのままやんケ〜」なのだが、実に的

を射ており、オモシロイ。キャストした仕掛けが着底したら、糸ふけを取ってそのまま放って

おくと、それまでいくら仕掛けを動かして誘っても食ってくれなかった魚が、勝手に向こうか

ら食いついてくれることがあるのだ。「押してもだめなら引いてみろ」的な発想で、ルアー・

フィッシング好きの方にはおなじみの釣り方でありますし、私自身この釣り方でこれまでか

なりいい思いをさせていただいた「場面」も数限りがない。「あの手この手を尽くして、どうや

ってもダメ」な時、万事休すなのか?いや、そうではない!あるではないか、「何もしない」

という手が!そう、コレは素晴らしい方法論の一つなのだ。


私の身近には様々な教師がいる。もちろん同業者であるから、その人たちのかかえる悩み

から喜びまで、手に取るようにわかる。同じ職員室にいれば、その人の顔色一つを見ると、

その人のかかえている仕事上の問題が一発でわかってしまうことも少なくない。


ある一本気な先生がいる。ささいなことからあるクラスの生徒たちと対立。その先生は、

生徒の我がままを許さないかなり厳しい先生だ。事の発端は、生徒たちがだらしなく、

ざわついてばかりで、授業を聞こうとしていない、ということのようだ。私も同じクラスに

出ているのでよくわかる。厳しくて完璧主義の先生ほど、いったん生徒との関係がこじれ

ると、修復不能になりやすい。「オマエらー!何で授業聞かんのかー!!」 先生は厳しく

活を入れる。生徒たちのざわつきはしばらくの間なりを潜める。が、それも束の間、

また雨後の竹の子のように、ニョキニョキとあちこちで騒ぎ始める。(これは生徒の常、

よくあるパターンですな〜) 先生はさらに厳しく生徒を締め付ける。生徒の質問に対して

「オマエラが聞いとらんけーじゃー!!答えん!!」と、まともに相手にしなくなる。

もともと生徒たちの態度が悪かったからなのであるが、そんな繰り返しで、授業内容は

ますます生徒たちにとって意味不明になっていく。生徒の扱いに困った先生は担任に

相談を持ちかける。(これはまだいい方だ。ひどいのになると、生徒のだらしなさを担任

のせいにする先生もいる。確かに担任はそのクラスの責任者ではあるが、何もかも

担任のせいにするのはお門違いというものだ。) で、担任は、すでに教科担当に締め

上げられた生徒たちをさらに締め上げる。生徒の反発はますます強固なものへと発展

していく。まさに悪循環だ。早い時期にこの悪循環に気づいていれば何とか対処する

方法もありうるが、この先生、一本気であるがゆえに自分にある意味信念を持っている。

決して自分のやり方を変えようとはしない。確かに、この先生の主張する所は正論なの

だが、このクラスの生徒たちに対しては少々暴走気味の感がある。意地の張り合いに

なっているのだ。そんな状況が1学期末あたりから出始め、すでに学年末である。

状況の悪化にはさらに拍車がかかり、もはや最悪。「お前らには単位をやらん!!」

ときた。生徒も生徒で「好きにすれば〜」だって。ヒャー、堂々と反抗してるよ〜。

(ドウナルンジャ〜?オモシロソ〜@不謹慎なワタシ・・・笑)

この先生、いい人であるだけに見ていて痛々しい。どこかでフッと力を抜くことができ

なかったのだろうか?今となっては、この学年が早く終了するのを待つのみだ。


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