Somewhere Over The Rainbow 〜 What A Wonderful World

( Israel Kamakavivo'ole )


皆さん、映画『小説家を見つけたら』、ご覧になったことあります?渋いです、この

映画。だって、主演はあのジェームス・ボンドことショーン・コネリーですもの。

ご覧になられた方はおそらく共感してくださると思うのですが、あの老小説家とあの

若者、理想的な師弟関係です。私など、たまたまですが、学習塾をやってますから、

このような人間関係にはあこがれますねー。一を言うと百実行してくれる弟子、荒削り

ではありますが、鋭い素質を秘めている生徒、なかなかいません。百歩譲って、「いた」

と仮定しましょうか。で、今の日本の画一的なやり方では、こういう個性は没して

しまうでしょうなー。やはり個人教授でしょ、こういう魅力的な個性には。でもここで

唯一にして最も大事な問題が。それは『相性』!いくら優秀な先生が付いても、この

『相性』がないとねー。極論するなら、全くの数学の素人が数学を教えることも

可能なのです。このような荒削りで魅力的な個性には『知識』のみを教え込んでも

全くのムダというもの。そこらへんにある参考書の類を与えた方がまだまし。

『相性』さえピッタリ合えば、知識はかえって邪魔になってしまうくらいです。

この映画の弟子役の青年がまさにそれ!この青年はこの小説家の家に来てただ

ひたすら小説を書くのみ、教える側の老小説家はときどき文章に目を通して、2〜3の

コメントと注文をつけるだけ。小手先だけのテクニックを教え込もうとはせず、ただ

側についているだけ、あるいは酒のみながら横たわっているだけ。学校でこれやると

大変なことになりますね。でもそれでちゃんと付いてくるのですよー、この青年。

すべてこの老小説家の人間性のなせる技ですなー。師弟関係の理想的究極がここに

あります。あー、一生に一度、一度でいいんですよ、欲は言いませんから、

酒飲みながら、一心に勉強する生徒を眺めていたいなー・・・・「先生、ここは?」

なんて聞かれたとき、「ん?それは何とか自分で解決してみろ!」ってなこと

言ってみたいよなー。それにはわたくしの修行がまだまだ足りませぬ。

さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、本題のこの曲。歌うはハワイの

州民的歌手イズレエル・カマカ・ヴィヴォオレ。巨漢です、小錦の1.5倍くらい

あります。して、その声は美しい!優しい!実はこの映画、ちょっぴり悲しい結末が

待ってるのですが、それを単なる悲しみととらえるのではなく、青年小説家の新たな出発

という形に昇華させたエンディング。まさにその心地よいラストにふさわしい幸せな曲

でありますし、バックの演奏がウクレレのみ、という形態がどことなく悲しみと希望

の入り混じった気持ちにピッタリでした。この曲聞くなら、ぜひ一度は映画のラストまで

ご覧になりながら、イズレエルの優しさに包まれてみてください。

なお、このイズレエル、巨漢であるがゆえ、人生も短命でした。38歳という若さで

この世を去った彼の葬儀は州葬としてとり行われ、その死を悼む参列者は途切れる

ことがなく続いたそうです。


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