Come Away With Me (Norah Jones)


ノラ・ジョーンズ、この人のことはもう今さらここで詳しく紹介する必要もないくらい

有名になってしまいましたね。もちろん洋楽やジャズに無関心な人にはそれほど浸透

し尽くした名前ではないでしょうが、とにかくブレイクいたしました。グラミー賞も

とりました。Come Away With Me、これがブレイクのきっかけになりましたアルバム。

私がこれを見つけたのはまだ輸入盤しか発売されてなかった頃でありまして、「発掘

した!」という実感を伴う充実感をほんの束の間ではありましたが、味わったわけで

す。できればあの頃のまま、CD屋さんの片隅で奥ゆかしく咲いたままでいてほしかった

なー・・・・今となってはそれも叶わぬこと。素晴らしく美しい声というわけではあ

りません。独特な声、気だるい声といった方が正確かなー・・・・でも聴いてて

「癒される声」であることは間違いありません。1日の終わりに聞くと、「今日も一日

終わったなー。よく働いたー。」って気分になります。とにかくヴォーカルものは

「声」、この「声」が聞く人の感性に合うものでなければどんなに歌が上手くても、

どんなにいい曲でも、生理的に×。皆さんは悲しい時にHappyな曲を聞きます?

気だるいときに陽気な曲を聞いて元気を取り戻そうとする方?もちろんそういう方

もおられるでしょうし、その方がいい時もあろうかと思いますが、「悲しいときに

暗い曲」「気だるいときにドローンとした曲」、こういう組み合わせもGoodなのです

ねー。私はこっちのパターンが多いですな。そういう疲れた現代人に彼女の気だるい

声はぴったりマッチしたのでありましょう。疲れた時に明るく振舞おうとすれば余計

に疲れてしまうのです。疲れに浸る、もっと積極的な言い方をすれば、疲れを楽しむ、

そうです!疲れとは一生懸命頑張った人に締めくくりとして与えられる代価ではない

のかなー。我々はもっと「心地よく疲れる」ことを知るべきでしょう。そんなときこの

アルバムCome Away With Meはいいですよ。え?もうお持ちです?そりゃそうですよね。

だって、売れに売れまくりましたもの。CD屋さんでは、普段音楽には全く縁のなさそうな

オッサンやオバサンが買ってるの見ましたからね。だからココで書くのには少々ためらい

もあったのですが、何せ大好きなアルバムですからして、いつかは・・・・と思って

おったわけです。中でも私のお気に入りは輸入版の最後に収録されております

The Nearness Of You. これに尽きますなー。彼女のオリジナルではありませんが、

ピアノの弾き語りが素晴らしいです。彼女のピアノは雰囲気で聞かせるピアノですなー。

テクで聞くものを「ウーン」とうならせる類のものではありませんが、全編に渡って

控えめに聞こえて来るピアノの音はまさに心の底までジーンとしみ入る力を持って

おります。このアルバム、お持ちでない方は、レンタルでも何でも、ぜひ一度、一日の

締めくくりのお時間に耳を傾けてみて下さい。決して「明日も頑張ろう!」という

気分にはなりませんよ。ただ、「疲れたー・・・」という実感が得られるかと。