Blue Bossa (Martin Taylor)


ジャズ・ギター・・・どことなく印象が薄く、これまで特に本腰を入れて聴いたことがない。

聴くアルバムどれも「軽く」聞き流していたのだが、年を食ったせいもあるのだろうか、特

に最近私はギターの音色に「飢えて」いる。ビッグ・バンドでもヴォーカルものでも、控え

めにバックを固めるギターに注目することが多くなった。年をとると、「派手に表には出な

いが、控えめに隅っこの方でひっそりと、それでいてしっかりと自己主張する」人や物に

目が向いてしまうのは、当然と言えば当然。最近で言えば、ダイアナ・クラールのパリ・

ライヴでギターを弾いてたアンソニー・ウィルソン、ノラ・ジョーンズのバックで同じく

ギターやってるハゲたおっさん(言葉がわるくて申しわけありません、早く名前覚えなく

ちゃね)、・・・どちらもいい味だしてたよな〜。しかも見ようによれば、メインのヴォ

カルよりも目立っていたりして・・・必要な時にだけ出てきて、ピリッと引き締まった

演奏して、終わったらサッサと引っ込む・・・こういうのがホントカッコいいよな〜♪


「もっと真正面からギターの音色と対決してみたい」・・・そう思い始めてから、ネットで

いわゆる「ギターもの」を検索してあれこれ物色しておりましたら、・・・行き当たりま

した、このアルバムMasterpiece Guitars。ジャズギターの大御所マーティン・テイラー

とプログレ・ロック界の鬼才スティーヴ・ハウの二人が有名なギター収集家の所有する

名器を数にして50本前後、弾きたおす、という企画物でありますが、「ギターの音色

ってこんなに素晴らしかったの!?」と気づかせてくれる一枚、といえます。ジャズ界

では歴史的に単なるリズムセクションの一つという扱いをされていたギター。勿論傑出

したジャズ・ギターリストは数多く存在していましたが、ピアノやサックスといった楽器

に比べると、やはり日陰の存在であったという感は否めないところがあります。しかし、

この一枚に耳を傾けた瞬間から、「ギターはソロだ!」という確信に近い手ごたえを感じ

ます。余計な楽器をすべて排したとき、人は始めてギターの真の音色に心を奪われる。

最近は寝る時にいつもこのアルバムを流しております。BGMとして非常にリラックスできる

よさも持っており、ジックリ聞き込む音としてのよさもありで、ギターという楽器の懐の

深さを感じます。中でもイチオシは Blue Bossa! コイツは素晴らしい!耳からではなく、

脳天からギターの音が入って来ます。BGMとして居眠りしながら聞き流していても、必ず

この曲にきたら、全身全霊をこの曲に傾けてしまう、必ず何回かりプレイしてしまう・・・

それほどまでにマイッテしまっております。いかがです?脳天から入って来て、心の奥を

えぐるようなギターの音色に酔いしれては?