越冬ギスの攻略



年末から年明けにかけて、すでに落ちの荒れ食いが終了し一段落した後に、越冬
の群れを形成したキスがかなり活発な食いを見せる時期が一瞬ある。これはここ
瀬戸内特有の傾向なのか、山陰や太平洋岸、および九州地方にも共通して見られ
現象なのか、自身それらの地方を釣り歩いた経験がないのでよくはわからないが、
とにかく瀬戸内、それもここ江田島湾にかぎり、水深15から16m付近の深み
にゴッソリと良型が固まる。そして固まってそこから動かない。

この特性が彼らにとっては命取りになるのだが、とにかく「狙い撃ち」が可能で
あり、しかも冒頭の画像(12月30日)のごとく、ハリの数だけ良型がついて
くるのだから不思議だ。盛期にもこのような釣れ具合はなかなかない。去年の年
始めには1月3日に、まさにこの地点でこれと同じ現象に遭遇した。キスの動向
に「水温」が大きく影響することは周知の事実だが、海の中の細かい地点での水
温がどうなっているのかは、温度計を投げてみなければわからない。12月30
日は絶好の釣り日和・・・これで釣れなければ腕が悪いというような日であった
が、去年の1月3日、コイツはひどかった。風が横殴りで竿が吹っ飛ぶほどの悪
天候・・・にもかかわらず正午を過ぎたあたりからバクバク食いが立ち、この時
期としては爆釣といっても差し支えないほど釣れた。

これが2月、3月になって水温がどん底になると、15〜16mで活動していた
キスが正真正銘の「深み」へとさらに落ちて行くことが理論的には予測できるの
だが、希望的観測にはなるけれど、春先の釣れ具合(3月に入って爆釣という話
をよく聞く・・・自身はやってないけれど)を考えて見ると、やはりここのキス
は「居着き」ではなかろうか?ということは、何らかの要因でココは水温が非常
に安定している地域ということ。キスの活動限界とされる水温15度を下回って
いても、安定していればそこそこ釣れる。その辺が今年のワタクシ個人のテーマ
だ。何とか「周年のキス釣り」を確立させたい。



参考までに、12月30日の釣果・・・半分以上が18cmを超える良型。
トータルでは15cm前後を含み50匹は釣っている。

さて、越冬(ワタクシは完全な越冬とは思ってないのだけれど)の群れを効率
良く獲るにはどのようなことに気をつければいいのか?ここ数年で学んだこと
を自分なりにまとめておくことにしよう。

まずは、飛距離。ちょっと遠投しなければなりません。だいたい4色〜5色が
ここでの水深15m地点だ。6色投げるのは普通の人には(ワタクシも含めて)
チョイト難しいので、「5色出し切って、深みの入り口に付いている固体を獲
る」というやり方。5〜4色の1色分をじっくりネチネチ攻める。キスの動き
は鈍いが、にもかかわらず「置き竿」にはアタックしてこない。ストップさせ
る瞬間はあってもいいが、常に仕掛けは動かし続ける気持ちが大切だ。アタリ
があったら確実にハリ掛かりさせるため、「巻き合わせ」をかならずやってお
く。こうしないと、仕掛けを巻き上げて、キスが水面を割った瞬間にバレたり
する。目の前で良型のキスがおさらばする光景ほど、脱力感に見舞われる瞬間
はない。こういうバラシをすると、その後のモチベーションに大きく響く。

で、関連事項になるけれど、キスを掛けた後、その場で仕掛けをストップさせ
て、キスバナナ覚悟で追い食いを待つ。固まっているエリアがピンポイントだ
から、そうした方がやはり効率よい。つまり「巻き合わせ→ストップ」のくり
返しが基本だ。暴れるキスが仕掛けを動かしてくれるので誘いになるようだ。
とにかく1匹食いついたあとの追い食いは大いに期待できる。

2番目に、ハリ・・・食い込みが浅いので、攻撃的なハリを使うのがいい。
袖型よりもキツネ型(いわゆる早掛けタイプ)が有利だ。ワタクシ個人は落ち
の時期から好んで「アスリートキス」の6〜7号を使っているが、コイツは
素晴らしい!!非常に攻撃的なハリで、キスの唇の一番硬い部分に、しかも
かなりの割合で外から貫通する。掛かったらまず外れない。ただ、取り込んだ
キスをはずすのもチョイト苦労するけどねっ(笑)。ハリ先の鋭さはまさに
絶品だ。少々鈍っても貫通性能にはさほど影響しないようだ。

さて、3つめになるが、時間帯。通常のキス釣りの意識を180度変えて臨
むくらいでちょうどよい。とくに晴れている日は要注意だ。ご存知の通り、
放射冷却現象が起こる。つまり、早朝はキンキンに冷え込む。よって、早朝
の食いにはあまり期待しない方がよい。食ってくる固体もいるが、たいてい
は数匹で収束してしまう。あとは図ったように静まり返る時間が延々と続く
のだが、ここが落とし穴だ。たいていの釣り人はこの時点であきらめる。ア
タリが遠のいたらのんびり弁当でも食いながら、投げる練習したり、仕掛け
やラインの点検したりしながら「時」がくるのを待つ。そうそう、話がちょ
っと横に逸れるけれど、ラインの点検は重要です。遠投を繰り返すとどうし
ても巻き取ったラインがたるんでいたりするもので、そういうのをきちんと
修正しておかないと、「時」が来たときに出鼻をくじかれることが多い。
ちなみにワタクシはこの暇な時間帯に、竿もリール(あるいはスプール)も
すべて新しいものを準備しておきます。飛距離も回復しますし、トラブル
防止になり、なにより気分的に心地よいです。竿が1本しかない人は、せ
めてスプールだけは新しいのに変えて、竿を乾いたタオルで乾拭きし、
スベスベにしておきましょう。



これは昨日1月13日の釣果。午前中はメチャメチャ渋く、同行の人は2匹釣る
のが精一杯。もうお一方は残念ながらキスをゲットできませんでした。所用がお
ありになり、お二方は先に帰られたのですが、その後でとんでもないことになろ
うとは、まだ経験の浅いお二人には、当然のことながら知るよしもございません
ねっ。まっ、この日は所用でやむを得ずということでありましたが、フリーであ
ったら、何がなんでもお引止めしたのですけど。

お二人が帰られて、ワタクシは「移動するかどうか」迷ったのだが、いつも行く
場所が同じでは進歩がないので、ここ江田島湾鷲部にてねばることに。で、昼を
まわったあたりから、4色ラインに再びアタリが出始めた。ここは横に広い釣り
場なのだが、オモシロイことに、どこの4色も釣れるというわけではなく、年末
に経験した「ウインターキッス・ピンポイント現象」。そこを探り当ててからは
まさに釣り座を一歩も動くことなく狙い撃ちが始まった。良型が2連〜3連で食
ってくる。スイッチオンだ。真冬であるからスローだが入れ食いだ。10投ほど
したが、まったく散る気配もなく、どのキャストにも2〜3匹ついてくる。汗ば
ほどの運動量となり、心も体も心地よく満たされた。夕方までやればおそらく
50匹ペースだが、とりあえず仕事が控えているし、十分満ち足りた。自主的に
ストップフィッシング。「時間帯」に関する考察は一歩確信に近くなった。

このナーバスな時期にキスの釣果を他人と分けるのは、技術ではありません。
遠投力といっても5色ですから、練習しだいで誰でもここまでならすぐに投げ
ることは可能だ。強いて言えば、ここが「技術」の部分か?なにより大切なこ
とは、「キスの動向を読む」・・・これに尽きる。つまり、広いエリアの中で
貪欲にキスのピンポイントを探せるか?という行動力と待てるか?という忍耐
力さえあれば、誰にでも意外と簡単に攻略できるターゲットである。

2月・3月の厳冬期にはいかなる釣りをすればいいか・・・今年はココをぜひ
やり込んでみたいと思っております。1月いっぱいなら、ここに書いたエリア
でここに書いたことを自分なりにアレンジしながらやってみると、オモシロイ
釣りになる可能性は期待できましょう。ご興味のある方は、ど〜ぞ〜♪