9/18 産卵期〜秋口のキスへ



一般的に「大ギスの季節」と言われるのが、5月末あたり〜7月頭までの産卵の
時期である。すでに毎年ほぼ同じ事をやっているのだが、やはり狙いどころは
「藻場」・・・これに尽きる。幸いなことに、当地瀬戸内では完全砂地は極めて
稀な存在であり、まさに大型キスの産卵場所になる「藻場に囲まれた砂地」が
いたるところに点在する。この時期これだけ条件の整ったキス場がまとまった
数存在する地域は全国探せどそれほど多くはなかろう。釣れる数はだいたい30
〜40匹程度であるが、その半数以上が20cm近辺かもしくはそれ以上のサイズ
となるから、釣りごたえはその数以上のものがある。



この時期実績の高い釣り場の中でもなんといってもイチオシなのは「倉橋南海岸」
だ。一言で南海岸と言いましてもその範囲は広く、鹿島からトウセン浜、大迫、
亀の首一帯および尾立の湾内、もっと範囲を広げると、倉橋本浦、須川近辺も
見逃せないポイントとなる。ワタクシ一人の実績ですからあまり参考にはならない
かもしれないが、去年は鹿島宮の口海岸がすんごいことになっていたし、今年は
去年ほどではなかったがやはり、鹿島はよかった。昔からの超有名キス場である
にもかかわらずこの時期にキスをココで狙おうとする人口はあまりに少ない。
よって、ワタクシにとっては尾立同様、この時期のパラダイスがココだ。











こういう画像を見ると、どこをどう攻めればよいのか、おそらく誰にでも容易に
想像はつく。ただ、こういう釣りを実行に移せるかは別問題。キス=きれいな
砂地の釣りという固定観念があまりに強すぎる人にはむいてないかも。

実際、ワタクシも初心者の頃はその口だった。とにかく根や藻に掛かる釣りは
キス釣りではない、そんな場所にキスなんかいないと思い込んでいたからねっ。
画像のようなキツイ藻と付き合いながらキスを釣るに至るには、簡単には語れな
いほどの試行錯誤、いやっ、意識改革を行ってきた。今では、この季節でなく
とも、「藻場」「根がかり」「激流」「岩礁帯」といった、キスのイメージと
はほど遠い要素が、ワタクシのキス釣りには絶対に欠かすことのできないキー
ワードとなっている。つまり、この産卵期以外であっても、このような地帯は
外してはならない重要なポイントということになるであろう。

さて、藻場の攻め方であるが、去年と今年ではちょっとやり方を変えてみた。
藻場では「バレ」が多発する。それを回避するために去年は小さいハリを使って
完全に飲み込ませて獲っていたのだが、感触はイマイチ。日によっては獲れない
個体が多かったように感じている。今年は大き目のハリに固定式テンビン・・・
コイツが意外とイケルことを学んだ。小バリでは完全に飲み込ませたと思ってい
ても、フッキングしてないことが多いかもしくは、フッキングしていてもハリ
自体の小ささがゆえに、簡単にズルズルっと外れてしまうということで、逆に
ハリを大きくしてフッキングをテンビンのアームに仕事させることにより、
飲み込んだハリが喉の奥にしっかりと刺さり、ハリの大きさが故に「吐き出し」
を許さないケースが多く、非常に好感触であった。そういえば、その昔、尾立近辺
に入り浸っていた頃、ワタクシの使用していたハリはスピニングBの13号
だったなぁ〜。これで普通に30匹以上はたいてい持ち帰っていたのだから、
わざわざ今になって小バリにすることもないのである。最近特にそう思うのだけ
ど、ワタクシも含めてみなさんトーナメントの影響受けすぎ・・・・みたいな。
「大バリによるキス釣り」・・・これがワタクシのこれからのテーマ・・・
といいますか、昔回帰だ。キーは「いったん飲み込ませたハリを吐き出させない
サイズ」・・・これに尽きますなっ。山陰で数釣るときは別ですけど。





さてさて、話は変わって真夏のキス釣りに。真夏といえば「ピンギスの数釣り」
・・・もちろんこれは山陰での話。ある意味、数だけは盛期です。ただ、そん
な中、ココ瀬戸内ではお盆前〜8月末にかけて、たぶんだけど、産卵の第2期
に突入する。よくはわからないのだが、この時期ピンギスから大ギスに至るま
で、ありとあらゆるサイズの個体が抱卵しているのである。しかも、第1期
産卵を終えて痩せこけた個体までが抱卵しており、「卵をおろした細いやつ
か〜」と思いきや、腹を割いてみてビックリというケースが多い。



コイツもそのパターンで、27cmのジャンボサイズであるにもかかわらず
お腹はくぼんでいますでしょ!?しかし、腹の中にはふたたび卵が宿っている
のであります。腹がパンパンになっているのはむしろ15cm以下のピンに
多く見られます。なにがなんだかワケわかんない時期ではありますが、
8月の中ごろ〜月末にかけてはなかなかのサイズがかなりまとまった数、釣れ
てくる第2産卵期。痩せっぽちも混じりますが、6〜7月を彷彿とさせるよう
な個体も多く、なによりピンがほとんど混じらないという点がイイ。キスに
とっての「真夏」はほんの一瞬にしかすぎないということを頭の片隅にでも
置いておかれると、この時期いい思いをする確率も高まるというものです。
狙いどころは6〜7月と同じでかまいませんが、意外とファミリーで賑う
有名波止ががら空きですから、そういう波止から藻場が狙い打ちできるとい
うラクチンなケースも想定内に入れておかれることをオススメします。





冒頭のマツケンJrクンの素晴らしい雄姿をご覧下さい。釣りたては27cm
あった堂々たる「肘タタキ」でした。彼の肘の長さとキスの大きさを比べて
みると、子供にとっては我々がイメージする以上に巨大な獲物であったことで
ありましょう。こういうのを見ると、われわれ大人は、軽はずみに「肘タタキ」
という言葉を使うべきではないという反省に至ります。肘の長さに達して初めて
正真正銘の「肘タタキ」なのですから・・・ねっ(笑)。

ココ、能美島の有名波止では、マツケンJrくんのを始めとして、ワタクシの
獲物も合わせれば、25cm超えが4本でておりますし、数もトータルで30匹
くらいはラクに上がっております。捨てがたいポイント選択でしょ!?

さ〜て、時期はもうすでに9月も半ばです。例年どおりキスは一服状態。あれ
ほど釣れ盛っていたキスは何処に行ったのやら、数は目一杯がんばって20数匹、
サイズも20cm以内にダウン。体力の回復を待って、10月の空気を感じる
頃には今度は中型以上の猛烈な荒れ食いが始まります。瀬戸内では普通に釣って
良型が50匹程度、山陰では軽く3桁、悪くても60〜70匹は獲って帰れる
季節の到来です。腕は要りません。ただ投げて巻くだけ。一年で最もキスという
魚の魚信にイージーに酔えるチャンスですよっ!!

皆さんのご健闘をお祈り申し上げます♪